松下 徹
Matsushita Tohru
1984年生まれ
東京芸術大学先端芸術表現科3年
「メディアによる情報の知識」と
「経験に基づく認識」の相違性・関係性を問う作品を、映像を中心とした
幅広いメディアで作っている。

「視覚メディアによる情報伝達とその知覚作用に興味があり、今回は絵画のフォーマットを使ってメディアを通しての記憶と認識についての作品を作ってみました。」
2005.04.29(金・祝)
2005.04.29(金・祝)
メディアに乗って届く情報は、日々更新され、私たちの眼前を超高速で駆け抜けていきます。また、伝達経路も複雑化の一途を辿るばかりですが、いくつかの情報は生きた「記憶」として体内に留まります。松下さんの作品の中にはそんなメディア経由の「どこかで見覚えのある、おぼろげな景色」が描かれています。それは超大国の光と闇であったり、とある事件の一幕であったり、遠いかなたの空模様であったり。
批判でも、肯定でもない。一つの事実としての情報が、樹脂成型やラメ塗装をした彼独自のフレーム=メディアの中で提示されています。伝達された情報は広く共有され、十人十色の色彩を帯びるのが常ですが、ときにはメディアによる脚色で、認識が画一化することもあるでしょう。恐ろしいことです…。
彼の作品を観るにつけ、自分の視点で情報をキャッチできているかを試されている気がしてなりません。
今回の展示では、松下さんの友人である加茂昴さんの油画(上)、木幡連さんのペン画(下)も登場しています。彼らの作品には超現実的な景色が描かれていますが、松下作品ともども通底するのは体内の記憶を呼び覚ます「何か」があること。ここに個展のタイトル「Shared Vision」のもう一つの意味が隠されていそうです。