谷中ボッサ?
ボッサ(BOSSA)とはポルトガル語で「こぶ」や「隆起」、転じて「波」や「流れ」「傾向」という意味を持ちます。
谷中という魅力あふれる町で、小さくても新たな潮流を生み出したい。わたしたちは「谷中ボッサ」にそんな気持ちを込めています。

町の魅力
谷中界隈は震災、戦災を免れた古い寺町です。多くの史跡・名所を持ち、四季折々の自然に親しみながら暮らすことができる
都内でも数少ないエリアです。また東京芸術大学や東京大学をはじめとする学生が利用する町として、さらに美術館・博物館
・動物園といった文化施設を訪れる観光客を受け入れる町として、幅広い役割を担っています。

ひとの魅力
谷中の町にさまざまな顔があるように、暮らすひと、利用するひと、訪れるひと、その目的もさまざまですが、
3つの「こころ」が見えてきます。

◆古きをいつくしむこころ…住民による町に対する愛情・矜持
◆創造するこころ…学生やアーティストによるクリエイティブなこころ
◆好奇心…観光客によるプラスのなにか(新しい発見)を求めるこころ

これらのこころは相互に働き合い、谷中の町に静かなエネルギーを生み出しています。わたしたちはこの場所で
町にかかわるひとびとのクロスポイントとして永く機能したいと願っています。

2004.4 谷中ボッサ



ヤマベボッサ?(2016.11〜)
「ボッサ」って何?
こんな質問をよく頂きます。
お墓の隣だから菩薩(ぼさつ)のボッサ?
店主の髪型がボッサボサだから?
皆さん、いろんな想像を巡らせてくださいます。

僕らがお店をスタートした谷中は江戸城から鬼門の方角にあたり、
時の将軍が結界を張るべく寺を集めたところから寺町としての色を強めていきました。
いまでも70以上の寺院がひしめきあっています。
そんな東京の中では比較的落ち着いた街並みの一角で13年ほど、
ブラジル音楽を流しながら、時には生ライブを催しながら、コーヒーを淹れ、ケーキやパンを焼き、ランチを供し続けてきました。
近くのお寺には僕の曾祖父母が眠っていたりもします。

となれば、答えは。そう。
菩薩のボッサ?じゃありません。ボッサとは、ポルトガル語の「でこぼこ」。
ラクダのコブもボッサ。
転じて「波・潮流」という意味もあり、音楽ジャンルのボサノヴァとは直訳すれば「新たな潮流」です。
日本の「モボ」にヒジョーに近いニュアンスかと。
当時のカッコいい音楽だったわけです(今どきのブラジル人は誰も聴きませんが)。
そんなイケてるブラジルに愛をこめての「ボッサ」でした。
ちなみに谷中周辺は上野や本郷の台地と根津や千駄木、下谷などの谷合いが連続しており、
地勢的に見ても「ボッサ」だった、というのは、もちろん後から思いつきました。


では、なぜ松本移転?
道祖神、クラフト、豊かな湧水や温泉、照りつける太陽、アルプスや美ヶ原の絶景に魅せられ、
10年越しの浮気?が結実してしまったのです。
人生も中盤にさしかかると、森羅万象と駆け落ちしたくなるもの。
山と盆地の凸凹でやはり「ボッサ」なのでして。。。
その後、谷中に眠る曾祖父母が、実は松本出身ということが判明。
4世代を経たUターンとも言えそうです。

松本平の東山麓にある
ヤマベボッサは大工さん自身の住まいとして50年以上前に建てた古い日本家屋。
昭和の香りとともに、ぜひ皆さま、二階客席のバルコニーと展望台?から連なる山々をご覧ください。

僕らの大好きな松本民芸館も目と鼻の先。
美ヶ原温泉やワイナリー、旧山辺学校舎、おっとぼけ美術館、大久保醸造、西原商店、、、、
などなど、魅力のスポットも併せてお立ち寄りを!


さて、冬のブラジルは、折しもカーニバル真っ盛り。
世界的に有名なリオのカーニバルも、サンバ一色に染まり、華やかすぎる仮装パレードで大盛り上がりなのですが、
北東部バイーア地方の中心都市サルバドールでは、全く毛色の違うAXE(アシェー)のビートが街中を支配します。
生バンドを乗せたトレーラーが大音量で演奏を繰り広げながら街中を走りまわり、
太鼓の軍団がビシッとアフロビートを打ち鳴らしながら旧市街を練り歩いたり。
24時間、そしてまる一週間サウンドは鳴り止みません。

アフロブラジルの伝統が色濃く残る地域ゆえ、その音楽も独特の黒っぽさがあります。
マイケル・ジャクソンの「They Don’t Care About Us」のPVで共演している
Olodum(オロドゥン)というグループの様子を見れば、イメージが湧くと思います。
観客はバンドや楽団について行きながら、一緒に踊りまくり、歌いまくるという、
参加型のカーニバルであることもバイーア地方の特徴です。
ペロウリーニョ広場の食堂ではデンデ油でココナッツと魚介類を煮込んだ郷土料理「ムケッカ」が待っています。

口に運べば、Muito Bom!

飛騨おろしではなく、潮風が吹き抜けることでしょう。舟形の壮大な山車が9体、
氏神の須々岐水神社に集う様を見るにつけ、かつて移民希望者を満載し
ブラジルの地を目指した笠戸丸の姿を重ね合わせてしまいます。
そんな妄想をいだきつつ、波に揺られる人生の旅はまだまだ続きそうです。
(2018winter walkerに寄せた文を修正、転載)
what's our concept